<まごころ奨学金>返済免除も検討 犯罪被害者の子支援拡大

 政府は、犯罪被害者の子どもたちを支援する「まごころ奨学金」を使いやすくするため、奨学金の返済を条件次第で免除する負担軽減策の検討に入る。同奨学金は振り込め詐欺の被害者に返しきれなかった被害金(預保納付金)を元手にしたものだが、年200人以上の利用見込みに対し、今年度の新規の奨学金受給者はこれまでに15人と低迷。背景に犯罪被害者への情報伝達の不足や、奨学金の使い勝手の悪さがあると指摘されていた。  まごころ奨学金は2013年度にスタートした。貸し付け対象は、殺人事件や交通事故などで親を失ったり、犯罪に巻き込まれた親が働けなくなったりして経済的に苦しむ高校生や大学生、大学院生たち。奨学金事業は政府が公募で選定した公益財団法人「日本財団」が13年度から運営している。大学生の場合は毎月8万円、入学一時金30万円を上限に、最大30年間の返済期限で無利子で借りることができる。  奨学金の原資となるのは振り込め詐欺の被害金だ。通常、被害者が詐欺に遭ったことに気付けば、「振り込め詐欺救済法」に基づいて振込先の口座が凍結され、被害金は戻ってくる仕組みになっている。しかし、被害者が被害に気付かない場合や被害者を特定できないケースでは、返しきれないお金が残るため、預金保険機構に納付し、保管してきた。こうした「被害金」は約50億円(13年度)に達している。  「まごころ奨学金」の目的は、この返しきれない被害金を有効に使うことだったが、奨学金の申請者は13年度に47人、14年度は現在までにわずか17人。このうち、実際に奨学金の貸し付けを受けたのは13年度が31人、14年度が15人で、これまでの拠出金は計約6200万円にとどまっている。  日本財団は利用が低迷している現状について「利用者には好評だが、制度を知らない人も多い。借金を背負うことにためらうケースもあり、十分に浸透していない」と話している。金融庁や財務省、内閣府などの関係省庁は、低迷する利用実績や被害者側の要望などを踏まえ、学業などで一定の成績を収めた場合に返済を免除・軽減したり、貸し付けから給付に変更できたりするよう仕組みを変える改善策を軸に検討を始める。  犯罪被害者の団体からも不便さを訴える声がある。東京都内で犯罪被害者を支援する団体は「生活に困窮した被害者家族だと貸与はハードルが高い。ほかの奨学金制度よりもメリットが得られるよう、一定の条件を満たせば給付することを検討してほしい」と指摘している。【竹地広憲】  ◇預保納付金支援事業  振り込め詐欺の被害金を被害者に返したあとに残るお金を犯罪被害者の支援に充てる制度。2008年に施行された振り込め詐欺救済法で、詐欺に使われた口座の凍結や被害者への返金の仕組みが整った。返しきれなかった被害金は預金保険機構が保管していたが、残高が増えてきたため、犯罪被害者支援に役立てることにした。残高は約50億円あり、40億円を奨学金事業に、残る約10億円を被害者支援団体に助成する。13年度は被害者からの相談事業の拡充や防犯カメラの設置などに取り組んだ42の支援団体に約2億1000万円を拠出した。 ポーター ビジネスバッグ ブランド リュック 人気 鞄 ブランド aniary slow クレドラン head porter