京都市ごみ屋敷条例案に危惧 精神科医ら「孤立深める」

 京都市が「ごみ屋敷」を解消するため、立ち入りや質問を拒否する住人に対する氏名公表や過料徴収、行政によるごみ即時撤去と費用請求を可能にする条例案に対し、精神科医や弁護士、精神保健福祉士らから「周囲からの孤立を深め、症状を悪化させかねない」と危ぶむ声が出ている。このほど「京都市ごみ屋敷問題を考える会」を立ち上げ、本人に寄り添う福祉的な視点での解決を訴えている。  市のごみ屋敷対策条例案は、ごみが山積みされた建物など「不良な生活環境」が対象。住人が是正命令に従わない時は氏名公表や過料を徴収するほか、緊急の場合は勧告や命令を踏まず、同意なしの即時執行も導入する。22日まで市民意見を募集し、9月市議会に提案する予定。  考える会では「精神疾患を抱えた人がいきなり物を捨てられたら、混乱して病状が悪化する」「時間はかかっても信頼関係を築き、納得して捨てる支援こそ必要」といった声があるという。  同会の舟木浩弁護士は、条例案にある調査時の質問拒否に対する氏名公表や過料の規定に「財産権の観点からやり過ぎで、他の自治体より厳しい内容だ。氏名公表はネット社会の中、悪いラベルを貼ることになり、取り返しがつかない。排除や罰する発想では解決にならない」と話している。  市保健福祉総務課によると、実態調査で居住者がいるごみ屋敷は112件。苦情などから集計し、住人の福祉・医療の利用度や認知症の有無は把握していないという。  ごみ屋敷に関する条例は東京都足立区や大阪市が設けている。足立区は、ごみ屋敷に暮らす人が医療的な支援や福祉の関与が必要か実態調査した上で条例づくりを進めたという。医師や弁護士らでつくる審議会の意見や庁内のケース診断会議を踏まえ、生活再建支援や改善命令を出す仕組み。  足立区生活環境保全課は「片付けをお手伝いする姿勢が大切。ごみはセルフネグレクト(自己放任)の面があり、福祉と両輪で支援を進めるべきだ。一時的に片付けても元に戻り、解決にならない」と話している。 ポーター ビジネスバッグ ブランド リュック 人気 鞄 ブランド aniary slow クレドラン head porter