快進撃・妖怪ウォッチ“ヒットの裏側” 46歳社長を直撃

 ゲームソフトやアニメ、漫画を同時展開する「妖怪ウォッチ」が、幼児や小学生の間で空前の大ブームとなっている。ゲームソフトは、累計約300万本超を売り上げ、関連のおもちゃも発売後すぐに品薄状態に。「アナ雪現象」を巻き起こしたディズニーアニメ「アナと雪の女王」にも負けず劣らぬブレークぶりだ。何が子供たちの心をとらえたのか。ヒットの仕掛け人に“お化けコンテンツ”誕生の裏側を直撃した。  「妖怪ウォッチ」の快進撃が続いている。  7月10日発売のニンテンドー3DS向けゲームソフト第2弾「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」(パッケージ版)の累計出荷本数が、200万本を突破した(7月末時点)。  ゲームマーケティングサービス「f-ism.net」の調べでは、昨年7月に発売された第1弾も約120万本を売り上げており、「1、2作を合わせると約300万本以上のセールス」(業界関係者)という。  今月2日には、玩具メーカーのバンダイが、腕時計型おもちゃの「DX妖怪ウォッチ タイプ零式」を発売。販売店には予約が殺到し、一部で抽選が実施される異例の事態となった。  バンダイではグループでの関連グッズの売上高を15年3月期の当初計画で70億円としていたが、14年9月中間期までに100億円を突破すると予想している。  「妖怪を探し出す時計を持つ小学生がさまざまな妖怪と友だちになったり、戦ったりして『妖怪メダル』を獲得していくゲーム。今年1月から世界観やキャラクターをそのまま移植したアニメが放映され、人気に火がついた」とは先の業界関係者。  テレビ東京系で放送中のアニメも、高視聴率をたたきだし、オープニング曲「ゲラゲラポーのうた」(キング・クリームソーダ)は、ユニークな振り付けが話題を呼び、5月の月間オリコンランキングで13位にランクインするヒットとなった。  ゲームにアニメに歌におもちゃ。社会現象になりつつある作品を生み出したのは、福岡市に本社を置くゲーム制作会社「レベルファイブ」だ。  同社の日野晃博社長(46)は、誕生のきっかけについて、「『ドラえもん』のようにどの時代でも長く愛される普遍的なコンテンツを生み出したい、と2011年ごろから開発に取りかかった」と明かす。  念頭にあったのは「新しすぎず、古すぎない。子供たちが共感できるような世界観」(日野氏)。すぐに思い浮かんだのが、未来的な響きを持つ「ウオッチ」と、古めかしくもどこか人間臭いイメージのある「妖怪」とを掛け合わせた「妖怪ウォッチ」というキーワードだった。  会社のスタッフらが、メーンターゲットに据える小学生特有の悩みや関心事を調査。そうして集めた500以上の「あるあるネタ」から250体以上の「妖怪」を生み出した。  「トイレの個室に入るのを恥ずかしがったり、母親が忘れ物を持ってくるのを冷やかしたり。小学生にとって身近な話をヒントにキャラクターを作り出した。主人公も、『ドラえもん』に出てくる『のび太』のような劣等生じゃなく、運動も勉強もそこそこという普通の子。ゲームをプレーする子供たちが、自分を投影できる世界観を作り上げた」(同)  多彩なキャラクターが登場し、クロスメディア戦略が奏功した前例としては「ポケットモンスター」がある。  1996年に登場してから、「ポケモン」の愛称で世界で人気を獲得。ライセンス管理会社「ポケモン」によると、93の国と地域でアニメが放送され、累計市場規模は4・2兆円以上に及ぶ。  「妖怪ウォッチ」も、先輩格に続いての海外市場進出を視野に入れている。  「来年を目途に世界展開する予定。日本らしいファンタジーとしての魅力があると考えている。すでに海外の玩具メーカーなどから『絶対に成功する』とのお墨付きも得ている」と日野氏。  日本で生まれた愛きょうたっぷりの妖怪たちが、海外で一大旋風を巻き起こす日も近そうだ。  ■「くいい爺」など多彩キャラ  「妖怪ウォッチ」には、個性豊かなさまざまな妖怪が登場する。老人のような外見で、取りつかれるとご飯を食べ過ぎる「くいい爺」や、人を引っ込み思案にさせる「ヒキコウモリ」、借りた物をのみ込んで自分の物にしてしまう「かりパックン」。さらに人の気持ちをネガティブにさせる蚊のような形をした「ネガティブーン」や、小学生がトイレの個室に入るのを隠したがることから秘密を何でも暴露する「バクロ婆」も。ダジャレや時事、幼児や小学生の「あるある」ネタがキャラクターのヒントになっている。 吉田かばん カバン ブランド 吉田カバン スーツケース ブランド クレドラン ブッテロ メンズ バッグ ブランド tough