稲川淳二に聞く“心霊番組”減少の理由「テレビが一番の手段でなくなった」

 怪談話の語りべとして活躍するタレントの稲川淳二(66)。かつては夏になると連日テレビの心霊・怪談番組に出演していたが、約12年前に芸能界の一線を退いてからは、自身の怪談ツアーをメインに活動している。そんな稲川に、昨今テレビで心霊番組が減少した理由を聞いてみると「ネットやDVDなどの普及」「類似番組の多さ」などを要因の一つに挙げた。 ――稲川さんがテレビを離れて12年ぐらい経ちますけど、以前は毎週のように心霊番組があったと思います。それに比べて昨今はすごく減っていますよね? 稲川 (テレビは)もうだいぶ離れてますけどね。実際の話をすると、いろんなオファーは来てるんですよ。地方局が多いんですけどね。そういう作家も多くいて、たくさん読まされるんですけど、向こうも人生かかってるから内容について下手なこと言えないんですけど。ただ、確かに東京では少ないかもしれないですね。 ――世の中的に心霊現象や怪談への興味が減っている可能性は? 稲川 それはないと思いますね。少なくとも、私のライブに足を運ぶ人は年々多くなってます。ありがたいことですよ。怪談ってのは、ジェットコースターと似たようなところがあって、怖いけど楽しいと思ってやるもの。もちろん、苦手な人はいるでしょうけど、好きな方は多いし、最近は男性だけじゃなく、女性のお客さんなんかも増えてますから。 ――では、どうしてテレビでは減っているんでしょうか? 稲川 明確な理由になるかはわかりませんが、お客さんが選べる時代になってますよね。昔はテレビが一番の手段でしたけど、今はそうじゃない。ネットの普及もありますし。私もずいぶんネットで色々やりましたからね。ツイッターでも「つぶやき怪談」やってますし。あと、DVDも増えていて、テレビよりもよっぽど凝って面白いものもある。選択の幅が広がったことで、テレビに求めなくても、みんなそれぞれ選べるんですよ。 ――ほかに今と昔で違いを感じることはありますか? 稲川 これはテレビ側の話ですが、同じような番組が多いですよね。12年前に私と一緒にやっていたディレクターって、すごい優秀でしたけど無茶もしたりして、みんな面白かった。でも、今は優秀な人ほど、そういうことやる人少なくて。番組作りに関しても、前にやったことが頭にあって、それを繰り返しやる。だから、コピー商品のような番組が多い気がしますね。視聴者も賢いんでそういったことをわかるから、離れていくのかなとは思います。昔は人の真似をしないことを積極的にやってたんですけど、いまは制限もあるだろうし、そこら辺は違うんでしょうね。 ――カメラのデジタル化で、誰でも写真を加工できる時代になったことは影響してますか? 稲川 それも影響してるだろうね。実際、心霊写真の本なんかも昔に比べて減りましたよね。いくらでも作れますから、その分本物がなくなった。デジタルになってから、心霊写真が取れなくなりましたよ。フィルムの時代はちゃんとしたのもあったんです。今はみんな作るのうまいんだ、怪しいやつね。こっちも騙されると悔しいんで、必死に見てますよ(笑) ――毎年怪談ライブを全国でやってますが、お金を払って怖い話を聞きに人が集まるって、改めて考えるとすごいことですよね? 稲川 今年で22年目ですから、本当にありがたいことです。ただ、怪談ってのは結局ライブが一番いいんですよ。質感というかね。生で聞くのは、田舎のお盆に帰ってきたような雰囲気もある。大勢でワーキャー言うから楽しい。そういう雰囲気はテレビではどうしても伝わらない。テレビだと匂いも空気感もないから、やっぱり体感できるものを求めるんだと思いますよ。  現在、稲川は毎年恒例の『稲川淳二の怪談ナイト』を30都市(36公演)で10月24日まで開催中。また、9月20日からは稲川主演の『劇場版 稲川怪談 かたりべ』が公開する。 ポーター ビジネスバッグ ブランド リュック 人気 鞄 ブランド aniary slow クレドラン head porter