中国、アジア主導に自信=米排除狙う-南シナ海で応酬・ASEAN会議〔深層探訪〕

 ミャンマーの首都ネピドーで8~10日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議では、大きな焦点となった南シナ海問題をめぐり、中国の王毅外相が精力的な2国間外交によるASEAN分断で巻き返しを図り、中国への批判拡大を抑え込んだ。対立する米国、フィリピン、ベトナムの主張をはねつけ、「アジアの盟主」として主導権確保へ自信を誇示した。  ◇分断で切り崩し  「南シナ海の緊張は過去数カ月間、悪化する一方だ。攻撃的な振る舞いや挑発行為が増え、地域の平和、安全、安定を深刻に脅かしている」。フィリピンのデルロサリオ外相は8日、中国による石油試掘や滑走路建設を念頭に、緊張を高める行為の凍結など3段階の「行動計画」を提案。中国の名指し批判は避けながらも、厳しい調子で訴えた。  これに対して、王毅外相は9日の記者会見でフィリピンの提案に対し、「必要がない」と一蹴し、南シナ海をめぐる「行動規範」策定の「障害になり、中国とASEAN各国の利益を損なう」と拒否。さらに「背後にいる者への警戒を呼び掛けた」と米国を強くけん制した上で、議長国ミャンマーなどASEAN各国との2国間会談を相次いで行い、「中立国」の切り崩しを図った。  ◇東シナ海自制も削除  その結果、フィリピン案に各国は慎重な姿勢を見せ、「中国が受け入れるのは困難」(タイのシーハサック外務次官)との意見が支配的となった。外相会議後に発表された共同声明はフィリピン案について「留意した」と言及するにとどまり、草案に盛り込まれていた日中が対立する東シナ海で「現状を変更する一方的行動への自制」を求める内容も完全に削除された  逆に各国からは中国の姿勢を評価する意見すら出た。インドネシアのマルティ外相は、かつては「行動規範」の策定協議にさえ応じようとしなかった中国が今回、「早期策定」を目指す考えを初めて表明したことを挙げ、「昨年とは対照的にはるかに建設的だ」と歓迎した。  影響力を日増しに強める中国に、ASEANが真っ向から対抗するのには限界がある。シンガポールのシャンムガム外相は「領有権争いの解決は極めて困難だ。何年もかかる」と指摘。「より現実的な目標を設定する必要がある」と述べ、紛争の拡大防止に向け、行動規範の早期策定に取り組むことが重要との認識を示した。  ◇米の存在感低下  王外相は10日のASEAN地域フォーラム(ARF)で習近平国家主席が5月に提唱した「アジアの新たな安全保障観」に言及し、「アジア各国から広い賛同を得ている」と強調した。「アジアの安全はアジアの国民によって守られなければならない」(習主席)とする考えで、米国のアジアへの干渉を排除する狙いがあるとされる。  一方、ケリー米国務長官はARFで「現状変更を目的に挑発的な行動を取っている」などと中国を名指しして石油試掘などを非難し、フィリピン案を支持。ただ、同案への賛同が広がらなかったことは、米国のアジアでの存在感低下、アジアのパワーバランスの現状を如実に示す結果となった。 吉田かばん カバン ブランド 吉田カバン スーツケース ブランド クレドラン ブッテロ メンズ バッグ ブランド tough